Suno / Udio で作った曲を仕上げる方法
生成AIで作った曲の「あと一歩」を埋める手順を、ブラウザだけで完結する方法で解説します。音量・音圧・冒頭ノイズまで、つまずきやすい順に。
Suno や Udio で曲ができたとき、多くの人が同じところで止まります。 「悪くないけれど、配信で聴く曲と比べると何かが足りない」。 その「あと一歩」の正体は、ほとんどの場合が音量・音圧・帯域バランスの3つです。 いずれもマスタリングで扱う領域で、専用ソフトがなくてもブラウザだけで手を入れられます。
まず、何が足りないのかを切り分ける
感覚で「なんか違う」と言っているうちは直せません。最初に、次の3つのどれなのかを切り分けます。
| 症状 | 正体 | 対処 |
|---|---|---|
| 他の曲より明らかに小さい | ラウドネス不足 | ターゲット LUFS へ正規化 |
| 音は大きいのに迫力がない | ピークだけ高く平均が低い | リミッター+正規化 |
| こもる/刺さる | 帯域バランス | EQ・マルチバンド |
多くの生成AI音源は1つ目と2つ目に当てはまります。3つ目は元のミックス由来なので、 後述するとおり改善の幅には限界があります。
手順
1. 音源を読み込む
スタジオを開いて、書き出した音源をドラッグ&ドロップします。 登録は不要です。読み込んだ時点で、曲全体のラウドネス(Integrated LUFS)と トゥルーピークが実測されます。ここで出る数値が、今の曲の現在地です。
2. ジャンルプリセットを当てる
ヘッダーのプリセットから、曲に近いジャンルを選びます。 EQ・コンプ・ターゲットラウドネスの初期値がまとめて入るので、ゼロから触るより速く近づけます。 迷う場合は AI 提案を押すと、曲の傾向からプリセットの候補が出ます。
この AI 提案は、端末の中で学習済みモデル(YAMNet)を動かして曲の傾向を判定しています。 音源が外部に送られることはありません。また、使うほど賢くなる類のものでもありません (そもそも音源を預からないので学習しようがありません)。
3. ターゲットラウドネスを決める
マスターセクションの Target を、配信先に合わせます。目安は次のとおりです。
- 配信全般: −14 LUFS
- Apple Music: −16 LUFS
- 放送: −23 LUFS
「ターゲットLUFSに正規化」を ON にすると、指定した値へ自動で合わせ、リミッターが天井を抑えます。 詳しくは LUFS とは?配信サービス別の推奨ラウドネス を参照してください。
4. Before / After で確かめる
ここが一番大事です。「ラウドネス整合」を ON にして聴き比べてください。 音量差があると、大きいほうが良く聴こえてしまいます(等ラウドネス比較をしないと判断を誤ります)。 整合を入れたうえで良くなっていれば、それは本当に良くなっています。
5. 書き出す
書き出しタブから WAV または MP3(320kbps)で保存します。 表示されている測定値は書き出すファイルそのものを測った値なので、 「出してみたら数字が違った」ということは起きません。
つまずきやすいところ
冒頭に「プツッ」というノイズが入る
生成AI音源にはよくあることで、ツール側の問題ではなく元の書き出しに含まれています。先頭カットとフェードインで対処できます。 複数曲をまとめて処理する場合も、全曲へ一括で適用できます。
上げすぎて音が潰れる
ターゲットを −9 LUFS などまで上げると、リミッターが常時深く働いて平板な音になります。 ゲインリダクションのメーターが振り切れっぱなしなら、上げすぎのサインです。 配信側でどうせ正規化されるので、無理に上げる意味はありません。
アルバム単位で曲間の音量がバラバラ
Album Batch の「アルバム統一」を使うと、全曲に同じゲインを適用して 曲間の相対的な音量差を保ったまま持ち上げられます。曲ごとに揃えたい場合は「各曲個別」を選びます。
正直に言っておきたいこと
マスタリングはミックス以上のものを出せません。濁った低域や、刺さる高域、音像が団子になっているといった問題は、 元の曲そのものに原因があります。EQ で多少は和らげられますが、別物にはなりません。
その場合は、生成のプロンプトを変えて作り直すほうが近道です。 マスタリングは「良い曲を、ちゃんと聴ける状態にする」工程であって、 「良くない曲を良くする」工程ではありません。